コラム

多くの会社のお手伝いをしていると、多くの悩みや課題を耳にします。
業種も規模も全然違う会社でも、意外と同じような悩みや課題を持っていることに驚きます。
日頃気づいたこと、目にした情報をコラムとし、少しでも経営者の方々の一助となるような情報を提供してまいります。

2012年5月アーカイブ

がん保険節税規制の新通達の適用は4月27日

 がん保険節税を規制する新通達案の適用日が注目されていましたが、国税庁
はこのほど、「がん保険(終身保障タイプ)に係る取扱いを、今年4月27日を
もって廃止しました。ただし、同日前の契約に係るがん保険(終身保障タイプ
)に係る取扱いについては、「なお従前の例による」との法人契約の保険料の
取扱いを公表しました。

 法人契約のがん保険(終身保障タイプ)は、会社を契約者及び保険金受取人、
役員や従業員を被保険者とする契約で、一定の要件をクリアすることで支払保
険料の全額損金算入が認められていました。がん保険では、保険期間の前半に
おいて支払う保険料のなかに前払保険料が含まれていますが、かつては保険料
に含まれる前払保険料の割合が低率で、かつ、保険期間の終了に際して支払う
保険金がありませんでした。

 そこで、平成13年の通達により、終身払込の場合にはその支払の都度損金の
額に算入、有期払込の場合には保険期間の経過に応じて損金の額に算入する取
扱いが定められました。しかし、10年が経過し、保険会社各社の商品設計の多
様化等により、がん保険の保険料に含まれる前払保険料の割合や解約返戻金の
割合にも変化がみられることから、その実態に応じて取扱いの見直しが行われ
ました。

 今年4月27日以後の契約に係る保険料について適用される新通達では、例え
ば終身払込の場合、保険期間(加入時の年齢から105歳までの期間)の50%に
相当する期間までは、各年の支払保険料の額のうち2分の1を前払金等として資
産に計上し、残額を損金の額に算入することになったため、大きなメリットで
あった「全額損金算入」が「2分の1損金算入」に縮減されることになります。

 なお、保険期間の50%を経過した後の期間は、各年の支払保険料を損金の額
に算入するとともに、前半で資産計上した累計額から一定の算式により計算し
た金額を取り崩して損金の額に算入します。

最終更新日:2012年05月31日

田舎で起業ラッシュ

1.四国の片田舎が企業誘致に沸いている、徳島県神山町。
徳島市から西に車で50分ほどのところにある山間の小さな町です。
地元のNPO法人グリーンバレーが空家再生を始めたのは2008年6月のこと。
その後、Iターン者の受け入れを進める中で、サテライトオフィスを構える企業が増え始めました。
人口も6500人の町に東京の企業が相次いでオフィスを構えるのはそうそうありません。

2.クラウド名刺管理サービスの三三が2010年10月に古民家を借りたのを皮切りに、
ITサービスのダンクソフトやコールセンター運営のテレコメディアなど6社に増えつつあります。
3月から神山町で一人暮らし老人の見守りサービスを始めるテレコメディアは活動拠点として、
ソノリテはコールセンターとして、ベルシオンやローカルアクションは本社として活用を視野に入れています。
神山町へのベンチャー企業の進出が相次いでいるのは、都会と異なる環境に価値を見出しているためのようです。

最終更新日:2012年05月28日

「財産及び債務の明細書」と「国外財産調書」 


現在納税者の財産等の状況を把握するシステムとして、
年間の総所得金額等が2,000 万円を超える者には、
「財産及び債務の明細書」の提出義務が課せられています。

又、少し先になりますが、平成25年分から5,000 万円超の国外財産を
有する居住者については、国外財産の種類や数量、価額等を記載した
「国外財産調書」の提出義務制度が、平成24 年度税制改正大網に
盛り込まれました。

今回はこれら明細書等の書き方や取扱い方法について考えてみたいと思います。

① 概要と趣旨
この「財産及び債務の明細書」は、その年の12 月31 日時点において有する
国内外の財産の種類、数量及び価額、債務の金額等を記載し、
申告書に添付して税務署長に提出しなければなりません。
前年に、この明細書を提出した者には1月の下旬ごろに、
税務署から申告書とともに同明細書が送られることとなっています。
この制度の趣旨は、高額所得者は資産性所得額のウェイトが高くなる傾向があり、
保有する資産と所得に密接な関係があると考えられることから適正な課税を
確保するための補助的手段として設けられたものです。

② 歴史
ルーツは古く、昭和25 年のシャウプ勧告時に導入されいくつかの制度内容の
変遷を経て、現在も所得税法の本法(法232 条)に規定が置かれています。

③ 明細書の不提出
この「財産及び債務の明細書」は、所得税法で提出が義務付けられています。
したがって、不動産を購入したときなどに税務署から送られてくる
「お買いになった資産の買入価値などについてのお尋ね」などの
文書とは違って(お尋ね文書には回答義務はない)、
ペナルティはありません(国外財産調書制度にはある)が
提出が遅れたりすると何回か督促を受けることになります。
従って、その記載内容については相続税申告の間接的な資料として
活用される事を意識して記入する必要があります。

最終更新日:2012年05月15日

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