多くの会社のお手伝いをしていると、多くの悩みや課題を耳にします。
業種も規模も全然違う会社でも、意外と同じような悩みや課題を持っていることに驚きます。
日頃気づいたこと、目にした情報をコラムとし、少しでも経営者の方々の一助となるような情報を提供してまいります。
2012年1月アーカイブ
法人の消費税不正還付で追徴税額75億円
消費税は主要な税目のひとつであり、預かり金的な性格を有するため、国民
の関心が極めて高く、税収等の面でもその位置づけが高まっています。このよ
うな状況下、消費税について虚偽の申告により不正に還付金を得るケースが見
受けられることから、企業に対する消費税調査は、ほとんどが法人税との同時
調査ですが、最近は、輸出企業を中心とした消費税単独の不正還付調査が増え
ているようです。
これは、消費税法では商品の輸出や国際輸送、国際電話、国際郵便などの輸
出取引に該当する場合、内国消費税である消費税は外国で消費されるものには
課税しないという考えに基づき、消費税を免除していることを悪用し、虚偽の
申告により不正に還付金を得るケースが見受けられるためです。2010事務年度
においては、8,475件の消費税還付法人に対する調査が実施されました。
その結果、74億9,700万円にのぼる消費税額が追徴されました。また、その
うちの830件は虚偽の申告により不正に還付を受けていたことも判明、
12億6,800万円が追徴されています。前事務年度と比べると、調査件数は15.3%、
不正件数も12.3%それぞれ減少しており、調査による追徴税額は57.7%減
少していますが、今後とも国税当局は消費税不正還付に積極的に取り組んでい
く方針です。
消費税不正還付の事例をみると、架空の資産を計上し、消費税を不正還付し
たリサイクル業を営むA社の例があります。A社は、新規事業の開始に伴い、実
際は高額の機械装置をリースで導入したのに、帳簿等を改ざんし、自社の機械
装置として架空資産を計上。資産の取得費の全額を課税仕入れとして計上し、
消費税を不正に還付する申告をしていました。法人税についても、固定資産と
して減価償却費を計上していたのです。
「会社の発展・存続」と「利益、組織(人)、社会」
一般的に、会社の構成要素として、「もの」「人」「金」「情報」が
挙げられますが、それとは視点を変えて、会社の発展、存続という観点から
考えてみたいと思います。
まず、最初に「利益」ですが、「利益」なくして会社の存続は
ありえないということについて異議はないかと思いますが、
その「利益」を生む行為が企業努力であり、「人」が「情報」を集め、
「もの」を作り、その「もの」を販売することが、利益の源泉となります。
また、「利益」は資金(「お金」)の裏付けのあるものでなければ、
資金がショートし、黒字倒産の憂き目にあってしまいます。
このように、会社の発展・存続要因としての「利益」は会社の構成要素の
「もの」「人」「金」「情報」と密接不可分の関係にあります。
では、「利益」さえあれば、会社は発展し存続し続けられるのでしょうか?
会社が発展し存続していくためには、「組織」が必要です。
中小企業の場合、最高のセールスマンは社長です。会社の売上のほとんどを
社長のトップ営業、ないしは社長の存在によっているケースが多いのでは
ないでしょうか。
ある一定の規模までは、社長個人の力(営業力、企画力、開発力等)によって
会社を伸ばしていくことが可能ですが、社長の力も有限です。
会社をさらに飛躍させ安定的に存続させていくためには、
「組織」の力が必要です。
「組織」は「ひと」から成り立っています。
まず、社長自身が、「ひと」を実践で育て、リーダーを作り上げ、
また、そのリーダーが「ひと」を育て、チームを組んで成果(売上、利益)を
あげていく。そんな仕組み(=「組織」)をいかに作り上げていくかが、
会社の発展、存続を決めます。
また、いったん「組織」が出来上がると、今度は「組織」を
管理していくということが必要となってきます。
「組織」の人間関係を調整し、「ひと」に動機付けを与え、「組織」の
硬直化を防ぎ、成果を挙げていく管理プロセスも重要になってきます。
したがって、どのような「組織」をつくり、
どのように管理していくかということは会社の発展・存続の永遠の課題なのです。
そして、会社は、「利益」をあげ、会社内部での体制が整っていれば、
それでよいのでしょうか?
今日、会社は「社会」と密接に繋がっています。
反社会的な行為により、存続が危ぶまれるのは会社の規模に関係ありません。
いくら「利益」をあげていても、それが不正な手段で得たものであれば、
社会的な制裁を必ず受けるでしょうし、いくら会社内部の関係が良好で、
「組織」として十分機能していたとしても、その「組織」の行動が、
社会一般の通念から、逸脱した行為であれば、
それも社会的な制裁を必ず受けることでしょう。
「法令順守(コンプライアンス)」という言葉が最近とくに新聞等で
取り上げられています。
会社はその企業活動が「社会的」にどのような影響を及ぼすかを常に考え、
行動することでその会社を社会的に意義のある存在とし、
更なる発展へと導くものと確信します。
昨年の税制大綱の骨子 ― 今年の税制改正の行方 ―
昨年 12 月に、例年通り税制改正大綱が公表されました。
今年の税制改正の方向が記載されています。
その内容を簡単に列挙すると以下のようになります。
(1) 個人所得課税
① 給与所得控除の見直し:
収入金額 1500 万円以上の場合、
給与所得控除額に上限が設定されます(増税)。
② 役員退職手当等に係る退職所得課税の見直し:
今までの特例措置が廃止され、増税となります。
(2) 法人課税
① 今年で期限が切れる課税の特例に関する適用期限延長:
中小企業の交際費の特例や、特別償却に関する特例措置が
延長されます(減税)。
② 原子力災害からの復興支援:
原子力災害を受けた地域について、減税措置が行われます。
(3) 資産課税
① 相続税・贈与税の抜本改正の先送り
② 固定資産税の見直し:
特例措置の見直しが行われます(増税)
③ その他新制度創設:
その年の 12 月 31 日において価額の合計額が
5千万円を超える国外に所在する財産を有する居住者は、
当該財産の種類、数量及び価額その他必要な事項を記載した調書を、
翌年3月15日までに、税務署長に提出しなければならないことと
されました。
(4) 消費税
① 消費税・たばこ税・酒税税率の引き上げを検討
② 環境関連税制では、車体課税の減税とエネルギー課税の創設
注目されていた消費税と相続税・贈与税の改正(増税)は先送りとなりました。
各項目の詳細については、ご担当の顧問税理士にご確認下さい。
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