コラム

多くの会社のお手伝いをしていると、多くの悩みや課題を耳にします。
業種も規模も全然違う会社でも、意外と同じような悩みや課題を持っていることに驚きます。
日頃気づいたこと、目にした情報をコラムとし、少しでも経営者の方々の一助となるような情報を提供してまいります。

「財産及び債務の明細書」と「国外財産調書」 


現在納税者の財産等の状況を把握するシステムとして、
年間の総所得金額等が2,000 万円を超える者には、
「財産及び債務の明細書」の提出義務が課せられています。

又、少し先になりますが、平成25年分から5,000 万円超の国外財産を
有する居住者については、国外財産の種類や数量、価額等を記載した
「国外財産調書」の提出義務制度が、平成24 年度税制改正大網に
盛り込まれました。

今回はこれら明細書等の書き方や取扱い方法について考えてみたいと思います。

① 概要と趣旨
この「財産及び債務の明細書」は、その年の12 月31 日時点において有する
国内外の財産の種類、数量及び価額、債務の金額等を記載し、
申告書に添付して税務署長に提出しなければなりません。
前年に、この明細書を提出した者には1月の下旬ごろに、
税務署から申告書とともに同明細書が送られることとなっています。
この制度の趣旨は、高額所得者は資産性所得額のウェイトが高くなる傾向があり、
保有する資産と所得に密接な関係があると考えられることから適正な課税を
確保するための補助的手段として設けられたものです。

② 歴史
ルーツは古く、昭和25 年のシャウプ勧告時に導入されいくつかの制度内容の
変遷を経て、現在も所得税法の本法(法232 条)に規定が置かれています。

③ 明細書の不提出
この「財産及び債務の明細書」は、所得税法で提出が義務付けられています。
したがって、不動産を購入したときなどに税務署から送られてくる
「お買いになった資産の買入価値などについてのお尋ね」などの
文書とは違って(お尋ね文書には回答義務はない)、
ペナルティはありません(国外財産調書制度にはある)が
提出が遅れたりすると何回か督促を受けることになります。
従って、その記載内容については相続税申告の間接的な資料として
活用される事を意識して記入する必要があります。

最終更新日:2012年05月15日

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