コラム

多くの会社のお手伝いをしていると、多くの悩みや課題を耳にします。
業種も規模も全然違う会社でも、意外と同じような悩みや課題を持っていることに驚きます。
日頃気づいたこと、目にした情報をコラムとし、少しでも経営者の方々の一助となるような情報を提供してまいります。

新興国メーカーが参入できない分野を中核事業に


小川 紘一(東京大学ものづくり経営研究センター特任教授)

1. 日本メーカーが研究開発した技術が、新興国に伝播するスピードが加速している。
技術がマイコンの組み込みソフトや、製造装置の中に蓄積され、新興国に流通するようになったからだ。
技術がいとも簡単に伝播し、新興国との間で技術力に差をつけるのが難しい状況では、
国の制度や企業の経営を変革することが競争に打ち勝つために重要となる。

2.また、自社の強みを見極め、そこに注力する方向に経営をシフトしなければならない。
日本メーカーは一般に、付加価値の最大化につながると信じて、あらゆる事業を内部に抱え込もうとする。
雇用を守るためにも、幅広く事業を維持し続けたいという経営者の気持ちも分かる。
ただ、その結果、オーバーヘッドのコストが非常に重くなっている。キャッチアップする側は、必ず、価格競争を仕掛けてくる。
勝つためには、本当に守るべき事業を決めて、それ以外の事業は外部の会社に任せるようにした方がよい。

3.新興国メーカーが簡単には参入できないような分野を見つけて、中核事業に位置づけるというのも、生き残り策の1つだ。
三菱電機や東芝、日立製作所は家電事業から、社会インフラなどに主軸を移すことで、現在は比較的業績が堅調に推移するようになった。
一方、パソナニックなどはテレビ事業を中核に位置づける経営から脱却できず、経営不振が深まった。
以前とは産業構造が変ったことを認識し、経営も革新していくべきだ。

最終更新日:2012年07月11日

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